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2017年7月14日 (金)

憲法Ⅱ(第24回)。

 昨日の第24回憲法Ⅱのレビューです。

 (0) まず、SBSでは、

 ① 憲法94条は地方公共団体に法規創造権を付与した条文であると理解できるとお話しました。だから、ここでいう「条例」は地方議会が制定する形式的意味での条例のはずであると。

 ② 「横出し条例」、「上乗せ条例」の一応の区別はあるのですが、それよりも、国法先(専)占論とナショナル・ミニマム論を理解したあと、後者を超える規制がなぜ許されるのかについて理解することが重要です。

 ③「司法審査」(judicial review)という言葉ですが、これには3つの用法があります(青本P278で確認してください)。

 (ⅰ)裁判所が国家機関の行為の「合憲/違憲」と判定すること。これ、憲法でよく使われる用法で、憲法81条が裁判所に付与した権限もこの司法審査権です。

 (ⅱ)裁判所が行政機関の行為の適法性を審査すること。これ、行政法他、下位法の分野でよく使われる用法ではないでしょうか。

 (ⅲ)上級裁判所が下級裁判所の判断を審判すること。これは、あまり使われない用法だと思うので、上の2つを理解してください。

 ④ 熊本なら忘れてはいけないハンセン病「特別法廷」問題ですが、これは憲法76条2項が禁止している特別裁判所には該当しません(参照、裁69条1項・2項)。しかし、憲法が刑事被告人に保障している権利(37条1項)には反している疑いが強いこと、努々わすれないでください。

 (1) 本編にはいって、まずは「司法権の範囲」についてお話しました。ここでは、憲法76条1項にいう「司法権」について、それは裁判所法3条1項の「法律上の争訟」のことをいうと講義しました。そして、何が「法律上の争訟」に当たるのかについては、判例が「事件性の2つの要件」を示していることも。

 逆から辿っていくと、「事件性の2つの要件」を満たすものは「法律上の争訟」に該当するので、裁判所が司法権を行使して解決し得る「司法権の範囲」にある事件ということになります。

 (2) さらに、上の(1)をよりよく理解するために、司法権の範囲外とされた事例について、判例を確認してください(詳しくは、青本P277~P278で)。

 ① 警察予備隊違憲訴訟は事件性の要件の第1要件に欠けるとされた事例です。

 ② 「板まんだら」事件は事件性の第2要件に欠けるとされた事例です。

 ③ 技術士国家試験事件は、第1要件、第2要件ともに欠けているとされた事例です。

 (3) つぎに「司法権の限界」の問題についてお話しました。これは、「事件性の2つの要件」を満たし、したがって「法律上の争訟」ではあるけれども、何らかの論理により裁判所の審判権が及ばない(又は、その審査密度が低下する〔たとえば、手続的審査はできるけれども実体に関する審査はできない〕)とされる事例のことです。プリントP68にも注記しましたが、「事件性の2つの要件」を満たすか否かという上の「司法権の範囲内外」の問題とは違うことについて、確認してください。

 (4) 上の「何らかの論理により」については、① 憲法が明文で定めれいるもの(議員の資格争訟の裁判、裁判官の弾劾裁判)、国際法上の限界(日米安保条約に基づく地位協定による刑事裁判権の制限)、② 政治部門の自律権(議院自律権や内閣の自律権)、③ 政治部門の裁量にかかわる限界を検討したあと、④ 団体の内部事項に関する問題、いわゆる「部分社会の法理」についてお話しました。

 (5) 部分社会の法理とは、国家内部にある団体の運営について、国家機関は、その自律権を尊重しこれに介入すべきではないという法理論のことです。但し、司法権が及ばない領域(それは、国民の権利救済がなされない領域である)を包括的には認めないようにするために、「団体の純然たる内部的措置一般市民法秩序にかかわる措置」を区別し、前者にはなお裁判所の審判権は及ばないが後者には審判権が及ぶとする法理論が生成されてきました。

 このことを確認するために、つぎの判例を検討しました。

 ① 地方議会出席停止事件地方議会除名処分事件。前者は部分社会内部の措置ですが、後者は一般市民法秩序にかかわる措置であるので、裁判所の審判権は及ぶとされています。

 ② 富山大学単位不認定事件富山大学専攻科修了不認定事件。単位の認定行為は一般市民法秩序と直接関係しないので「法律上の争訟」に該当しない(したがって、司法権の範囲外)ですが、後者、すなわち、教育課程の修了認定をしないということは、一般市民がもつ国立大学利用券を否定する効果をもつとされ、「法律上の争訟」性が認定されています。

 ここまでなら「司法権の範囲の内外」の話であって、「司法権の限界」(司法権の範囲内なんだけど、ある理由で裁判所の審判権が及ばない、あるいは、弱まる)の問題ではないようにも見えるのですが・・・

 ③ 共産党袴田事件は、一般市民法秩序にかかわる措置であったとしても、裁判所の審判権には限界があることを明らかにしたものでした。本件は、政党による除名処分が宿舎の明渡請求に関係ているので、当該除名処分の適法性について裁判所の審判権が及ぶとされているのですが、政党という部分社会の自律権に基づき定められた内部規範、それがなければ条理により、当該処分が適正な手続によるものであったか否かについてのみ裁判所は判断できるとされています。つまり、裁判所はなお除名処分の実体的適法性については判断できないとされているのです。このあたりに、一連の部分社会の法理の問題を司法権の限界の問題として検討した所以があります。

 (6) さいごに、部分社会の内部的措置にはなぜ裁判所の審判権が及ばないのか(プリントP69の【Q】)について。青本P281では、それは事件性の要件の第1要件に欠けるからである、と述べました。そこにはつぎのようにあります。「団体の『純然たる内部的措置』により何らかの不利益が課されたとしても、それはいまだ団体の決まり、ルール上の不利益にとどまり、国法上の権利、利益が侵害された状態とは評価できないので『法律上の争訟』にあたらない」との自説を展開しています。みなさんはどう考えますか?

 

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