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2017年11月 6日 (月)

演習Ⅱ(後期第3回)。

 学園祭あけ、sun

 先週の4年生ゼミのレポートです。

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 ゼミのリーダー兼ムードメーカーのM・Sくんのブログを楽しみにされていた方、大変申し訳ありません。今回は代打で、私、K・Nがブログ当番を務めさせていただきます。

 今回は、「著作権と表現の自由 - 著作権に基づく出版の事前差し止めの合憲性」というテーマで議論しました。

 今回、議論に二つの判例を使用しました。

 まず「剣と寒紅」事件です。これは、作家の福島次郎が、故三島由紀夫と同性愛関係にあったとする小説「剣と寒紅」を出版するにあたり、三島が生前、福島に宛てた未公表の手紙及び葉書15枚をそのまま掲載しており、これをうけて三島の親族が著作権侵害を理由に同署の印刷、製本、販売、頒布を禁止し販売店から回収する仮処分を申請した、という事件です。

 この事件で問題になったのは、手紙の内容はすべて著作権法上の保護を受ける「著作物」なのかという点です。三島の手紙には、その思想または感情を個性的に表現している部分があり、著作物性を有しますが、手紙の内容全体が著作権法上の保護を受ける、とは必ずしも言えません。

 また、この手紙が未公表であったために、著作権法32条所定の「正当な範囲内」の引用であったとしても公表権侵害に当たるのではないか、という問題も提起されました。発表班は未公表の著作物だからと言って一切の公正な引用を認めないとするのは表現の自由に合致しないと説明していました。

 次に著作権法百選事件です。債務者が『著作権判例百選〔第4版〕』を出版企画し、債権者を含めた4名の編者が選ばれ、発行されるに至り、表紙にはその4名の名が記されることになりました。その後、第5版を発行するにあたり、債権者は編者から外され、債権者の名は表示されることなく発行される予定となりました。これに対し債権者は第4版の翻案権、複製権、著作者人格権などに基づく第5版の差し止め請求を東京地裁に求めた、というのが事件の概要です。

 ここで興味深かったのは、北方ジャーナル事件と当該事件で言われている人格権は性格を異にしている、というところです。北方ジャーナル事件では、人格権としての名誉権が傷つけられるのを防ぐために、重要な権利である表現の自由を抑制する法理として「事前抑制の法理」が用いられました。これに対して、本件では、債権者の名前が記されないことは、人格権としての名誉権を傷つけるとまでは言えない一方で、言論の内容自体を個別に公表することは何ら禁止されていません。また、編者になれなかったことによって生じた金銭的損害は事後的に損賠賠償請求等で埋め合わせることも考えられます。

 前者の「人格権」と後者の「(著作者)人格権」の性質自体が異なっており、かつそれが害された時の補填の方法等についても大きく違っている点を考えると、事前差し止めを争ったとはいえ、差し止めの当否は「事前抑制の法理」で判断されるべきなのか、むしろより債務者の表現の自由を保護する法理論の提示を検討すべきなのではないか。さまざまな視点から検討されました。

 憲法の判例を学ぶ中で今回はかなり著作権に深く入っており、新鮮なテーマでした。引き続き著作権法にも興味を持って学習できればと思います。

 次回は、真打のM・Sくんです。同じイニシャルであり、今を輝く芸能界のS田M暉に劣らない、華麗なブログが展開されることと思います。次回が楽しみです!よろしくお願いします!!

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