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2017年11月23日 (木)

演習Ⅱ(後期第4回)

 勤労感謝の日でsun。前回の4年生のゼミ、ブログ当番を確認するの忘れてしまったので、わたしがレポート。

 お題は、同性カップルが婚姻届けを出そうとしたら不受理となった。同性婚が認められないのはおかしいと訴訟を提起するとすると、憲法上どのような主張ができるであろうか、というもの。

 報告は、まず諸外国の状況(同性婚が認められている国・地域とそれに準ずる制度〔登録パートナーシップ制など〕をもつ国など)の紹介のあと、そもそもわが国では同性婚について、どのような扱いになっているのかの検討へ。

 そこでは、民法上同性婚を禁止している条文は見当たらないけど、憲法24条1項では婚姻は「両性の合意のみ」で成立とあること、さらに「夫婦は・・・」とあることから、学説では通常、わが国の憲法は同性婚を認めていない(想定外)としていることが確認されました。で、実際に婚姻届をみても「夫となる者」、「妻となる者」という記載欄があり、「夫=男」、「妻=女」とされているので、実務的にも同性カップルの婚姻届は不受理になるであろうと。

 では、憲法上、どのような主張ができるか、というと・・・

 まずは、憲法14条または24条に基づいて、平等原則に反しているのではないか、との提案がありました。ただ、「婚姻」というのは法令上の制度であり、そこではA、B、C・・・という要件を備えたカップルにつき「婚姻」という制度の利用を許しているだけで不合理な差別があるといえるのか(つまり、男にとっては相手は女であるという要件を充足したときだけ「婚姻」としているだけで、そのほかの結合体を認めていないわけでない〔「婚姻」とはならないだけ〕)、というのが疑問点としてあげられました。これに対しては「婚姻」という制度利用権のようなものを想定するなら、男女の結合体はその利益を享受できるのに同性の結合体は享受できないので、そこには合理的な理由が必要ではないか、との反論がありました。

 つぎに、憲法13条上の幸福追求権(自己決定権)の内容には婚姻の自由があると思われるので、その制約であるという主張の可能性が検討されました。これは、筋としてはあり得るだろう(ただ、不合理な制約であるといえるかどうか、という点は不明だが)という結論でした。

 ところで、民法は「婚姻」条件として、さまざまな要件を課しています。たとえば、男18歳、女16歳以上とか。そのうちに、重婚や近親婚の禁止という要件もあります。こういう婚姻の自由の制約がなぜ許されるのかについて、報告班(のI内くん)はそれは「相続上の問題の複雑化を防ぐという合理的な理由」によって正当化されるとの見解を表明していました。これ、すごいですよね~。婚姻というのは「制度」なのだから、倫理・道徳に訴えるのではなく、あくまでも「制度」の設営方法から回答しようとした報告に驚かされました。

 では、本題の同性婚について、政府は法令を改正して同性婚容認に積極的になることはあるでしょうか。同性カップルであることは自由であるとは思うのですが、それを法令上保護しなければならないという規範が(憲法を含む)どこかの法令から導けるでしょうか。仮に導けないとなると、婚姻制度の設営方法は結局は政治部門の裁量の下に置かれることになり、きょうのゼミのはじめの段階に戻ることになります。さて、どうでしょうか。

 

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