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2017年12月

2017年12月30日 (土)

2017年のこと。

 年末! ということで、本年の反省をしようかと。

Img_2766 (1)まず、なんといっても研究。大学教員なので。ふり返ると、本年もちょこちょこ書くことができました。上を見ればきりがないのですが、わたしとしてはこんなもんだと思います。

 また、わが社による法セミ連載に参加できたこともよい経験でした。なにより、社としてまとまった企画ができたこと、それにくわわれたことは、本年の収穫でした。

Img_2274 そして、なにより、公法学会での報告の機会を得たことは僥倖でした。きっとわたしにとっては一生に一回の報告機会で、それが本年であったということは、本年はわたしの研究人生における転機となる年だったのだと思います。

 さらに、師の体系書の補訂再版の話を進められたこと、と同時に、研究書出版の依頼をうけたので、これから数年はそこそこ頑張らないといけないように思います。

Img_2763 (2)つぎに、大学教員なので、大学のお仕事もあります。この歳になるといろいろあるのですが、勤務校の広報誌『熊大通信』の編集長の3年目のとしでした。

 本年も各方面のお力をいただき、年4号の発行を確実に実施することができました。大学のお仕事はとかく面白みがないものが多いのですが、このお仕事だけは編集長として名前が残ることもあり、やりがいを感じています。

 (3)ところで、体調面では、本年のとくに10月以降はあまりよくありませんでした。数年来の腰痛が激痛になったことをうけ(これはゼミ生に紹介してもらった整骨院で治ったと思われる)、現在、右ヒザに痛みがあります。「水」を抜いたのですが、まだ歩行困難状態crying

 わたしは、この職についてから(いや、つく前から)、走って汗をかくことで、いろいろなバランスを保ってきました。そのわたしにとって、いまのヒザは「心折れる」状態にあります。いろいろなことがネガティブに感じられる年末になってしまいました。

Img_2757 (4)とまぁ、暗い終わり方もあれなので。そういえば、本年、インスタはじめました(いまさら感)。ということで、撮影風景です。ただ、いまいちインスタの意義を見いだせないところにあります。

 という感じで、2017年、年男の年も終わろうとしています。このギョーカイにいると、形式性のある節目は3月末のように感じますが、それでも一応の節目として、前向きに新年を迎えたいと思います。








2017年12月26日 (火)

演習Ⅱ(後期第10回)。

 またまた早朝のブログ更新。前回の4年生のゼミ報告です。

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 こんにちは!今回担当するS・Tです。今回のテーマは「町立博物館入館拒否事件」でした。今回は私の班が発表班を務めました。

 具体的には、和歌山地判平成28年3月25日を読み、反捕鯨団体の一員である外国人が博物館への入館を拒否されたことが憲法14条、19条、21条等に照らして違憲であるか否かを、参照判例に注意しながら評釈していきました。

 本判例では、情報摂取行為について「よど号事件」を参照し、憲法19条、21条から導かれる派生原理とした上で、本件入館拒否の条例上の要件該当性について、「泉佐野市民会館事件」「上尾市福祉会館事件」を参照して、本件入館拒否は管理の支障を生じる相当の蓋然性があったとまでは言えないとして違法だと判示しています。

 質問コーナーでは、情報摂取行為の自由があるのであれば、現在展示されているものを撤去してしまうことも自由の制約に当たるのか等の質問がありました。また先生からは、本件に類似するような、社会問題を法廷の場を利用して大衆にアピールすることが目標の訴訟(現代型訴訟)は許されるのだろうかという問いかけもあり、今年最後のゼミにふさわしい議論が交わされたように思います。

 今回で2017年のゼミも最後でしたが、来年も飲み会にゼミ旅行に(授業も)頑張っていきたいと思います。良いお年を!

 

2017年12月19日 (火)

演習Ⅰ(後期第9回)

 あさイチ。前回の3年生ゼミのレポートです。

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 こんにちは!今回のブログを担当させていただきます、M・Mです。

 先週はゼミ見学会が行われ、ゼミ生、見学者ともに緊張した雰囲気の中でゼミが行われましたが、今日はいつもの通り落ち着いた雰囲気で行われました。

 さて、今回のテーマは「生存権の法的性格」。とても有名な朝日訴訟、堀木訴訟に基づいて、生存権の法的性格や学説の展開について報告してくれました。

 朝日訴訟では、生活扶助の基準や訴訟の相続が争点となりました。最高裁では、保護受給権とは、一身専属の権利であって、相続の対象となり得ないとし、訴訟終了との判決を出しました。しかし、生活扶助の基準の認定をした厚生大臣の判断は、与えられた裁量権の限界をこえまたは裁量権を濫用したとは断定できないとする傍論を付加しています。

 堀木訴訟では、障害福祉年金と児童扶養手当の併給は許されるのか、ということが争点となり、障害福祉年金と児童扶養手当は受給者に対する所得保障である点において同一の性格を有することを理由に、併給を禁止することは正当であるとしました。

 今回も先生に褒められるような良い質問が多かったです。特に、「現在存在する生活保護受給権を廃止することは違憲なのか」という質問については、正解がないとのことで、議論が白熱しました。国に生活保護が必要な者を守る義務があるのか、憲法から要請されているのか、と問われると、返答に悩む難しい質問でした。

 「生活保護は外国人にも適用されるのか」という現代ならではの質問もありました。この質問については、外国人に権利として保障されているわけではない、日本国民を優先してもよいとする旨の回答がなされました。

 また、「朝日訴訟は訴訟終了という形で終わっているが、(訴訟提起に)意味はあったのか」という質問もありました。朝日訴訟の後、生活保護基準な見直されたようです。憲法について訴訟提起することは、その後の政策や法律が見直されることもあり、訴訟提起することに重大な意味があると分かりました。

 次回は年内最後のゼミとなります。寒さの厳しい毎日ですが、みんなで頑張っていきましょう!

2017年12月18日 (月)

演習Ⅱ(後期第8回)。

 くもり。4年生のゼミ(補講を挟んでの)第8回のレポートです。

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 こんにちは!今回担当するY・Tです。幸運なことに(?)今回の発表は自分の班で、テーマは、「GPS捜査と憲法35条との関係」でした。

 具体的には最大判平成29年3月15日を読みながら、GPS捜査と憲法35条との関係について考えていきました。

 本判決ではGPS捜査は「個人のプライバシーの侵害を可能にする機器をその所持品に秘かに装着することによって、合理的に推認される個人の意思に反してその私的領域に侵入する捜査手法であり、令状がなければ行うことができない強制の処分である」との判断が下されました。憲法35条を「住居、書類及び所持品」についての財産的ないし物理的権利の保護にとどまらず、個人のプライバシー保護の観点から理解する見解が今日的には主流となっている現状及び、同35条の文理を踏まえて、同条保護対象には私的領域に侵入されることのない権利が含まれるものと判示したものと考えられます。

 質問タイムでは、35条が保護しているのは私的領域だけなのか、スマホやカーナビ(もともとついているGPS)でも今回のような判断ができるのかといった鋭い質問がされ、白熱した議論ができたと思います。

2017年12月11日 (月)

演習Ⅱ(後期第6回)。

 さむ。12月4日の4年生のゼミのレポートです。この2日後に「補習baseball」がありました。

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Img_2574 こんにちは。今回ブログを担当するK・Sです。授業の冒頭、Sちゃんが夢の国のおみやげを配ってくれました。かわいい箱に入ったクッキーの写真を撮っている先生を見守るという謎の待ち時間がありました(笑)。今、流行りのインスタ映えですね。

 今回のテーマは、暴力団規制条例の合憲性でした。お題となった事例は、市営住宅に住むY2、Y3に対して、子のY1が暴力団員であることを理由に、住宅及び駐車場の明渡しを求めたものです。市の条例において、市営住宅の入居者または同居者が暴力団員であることが判明したときに、当該住宅の明渡しを請求することができることが定められています。本件では、Y1が別の住宅に住んでいましたが、本件住宅の名義人はY1でした。Y1、Y2は名義人又は同居人が暴力団員であることが判明したときには、ただちに住宅を明け渡すことが記載された誓約書を提出していました。本件は公営住宅等に関する条例のうち、暴力団の排除に係る条項の憲法適合性について争われ、最高裁として初めて判断が示されました。具体的には、①憲法14条1項、②憲法22条1項、③本件規定の適用違憲についての判断がなされました。

 ①について、本件規定は合理的な理由のないまま暴力団員を不利に扱うものであるという主張に対し、(1)地方公共団体に一定の裁量があること、(2)暴力団の性質、(3)他の入居者等の生活の平穏が害されるおそれ、(4)自らの意思で暴力団員でなくなるのは可能であること、(5)市営住宅以外における住居は制限されないことを列挙し、本件規定は暴力団員について合理的な理由のない差別をするものとは言えないとしました。

 ②について、本件規定は必要な限度を超えて居住の自由を制限するものであるという主張に対し、本件規定により制限される利益が社会福祉的観点から供給される市営住宅に暴力団員が入居しまたは入居し続ける利益にすぎないことに加え、①の判断で考慮した5つの要素を総合考慮して、本件規定による居住の制限は公共の福祉による必要かつ合理的なものであるとしました。

 ③について、Y1はほかに住宅を貸借して居住しており、誓約書が提出されていることなづを併せて考慮して、本件住宅及び駐車場の使用の終了に本件規定を適用することは憲法14条1項、22条1項に違反することにならないとしました。

 以上より、暴力団規制条例の合憲性が認められました。本件のような規定を過度の規制であるとする学説もありますが、本件規定の目的である他の入居者等の生活の平穏が害されるおそれについて、立法事実を認定する調査結果があります。公営住宅において発生した不法行為に、暴力団員が関わっていた事例が多く存在しているというものです。よって、規制の合理性が認められます。

 判断要素のひとつに、市営住宅以外における居住は制限されないことが挙げられていますが、民営の住宅でも暴力団員であることを理由に入居の拒否又は退去を求められることはあるでしょう。もし本件規定と同じ内容の契約を個別に結んだとしても、やはり他の入居者の生活の平穏等を理由にその契約は有効だと考えられます。そうなると、暴力団員は居住するところを失い、生存権を認められないことになりそうです。この点について、公営住宅の性質は、生存権を具体化し実現するための福祉更生施設です。Yらが他の住宅を借りられなかったのであれば、市営住宅からただちに退去を求めることは問題があると考えられるかもしれません。しかし、Y1は別の住宅に居住しており、他の住宅を借りることができています。よって、この判決は事例依存的であると言えます。

 私が一番気になったのは、暴力団員は自らの意思でやめることができるというところです。制限されなくなかったらやめればいいというのは、理屈としては確かにそうかもしれません。しかし、やめますと言ってあっさりとやめられるものではなさそうです。仮にやめたとしてもそれをどのように証明するのでしょう。今回の事例ではY1が暴力団員であること自体は争われていませんが、暴力団員でないと主張したらそうなったのでしょうか。今回は警察からの連絡でY1が暴力団員であることが判明したそうですが、警察が持っているであろう暴力団員のリストを目的外使用したとして問題にならないのかも気になりました。

2017年12月10日 (日)

第6回熊公研。

 cloud。いまにも降り出しそう。

 きのう、第6回の熊本公法研究会を開催しました。熊本界隈の憲法、行政法研究者で細々とやっているこの研究会ですが、ついに、外部からの報告者にお越しいただけました。

Img_2607 第1報告は、日本大学の柳瀬昇先生。国民の司法参加の意義は、司法を民主主義的に正当化することではなく、法律専門家と国民との協働を通じたものとして司法をとらえることにあるのだ、という視点でのご報告でした。

 第2報告は、桐蔭横浜大学の茂木洋平先生。アメリカ合衆国の最高裁におめるアファマティブ・アクションの司法審査基準の推移を丁寧にご報告いただきました。

 第3報告は、早稲田大学の小池洋平先生。奴隷制擁護論者G. Fitzhugh の議論を参照しつつ、「奴隷制」というもののネガティブな直観に異を唱えようとする刺激的な報告をいただきました。

 すでに学界でも名をはせている先生、そして、気鋭の先生のご報告を熊本で聴けるとても充実した研究会になりました。

演習Ⅱ(補講)

 12月6日の4年生のゼミの「補講」の様子です。

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 今回のブログを担当するS・Tです。補講日として、12月6日の2限の時間に澁谷ゼミと野球対決を行いました。

Vs20171206 季節外れの温かい陽光の中、試合は始まり、前半は大日方ゼミが優勢でO投手の冴えわたる直球に、澁谷ゼミは手も足も出ず点差は開くばかりでした。安全圏と思われたところまで点差が開いたところで、O投手は後続のI投手に任せ、満足した表情でマウンドを降りました。

 しかし、I投手が調子をつかめず、守備陣との不仲のせいもあり、澁谷ゼミは手も出るし足も出る状況で、点差が安全圏から射程圏内、同点、ついには逆転されてしまうという投球内容になってしまいました。結局点差は埋まらずわがゼミは敗北に終わりました。4年生も終盤というところでゼミ生間(I君vs.その他)の仲の悪さを見せつけることになり、卒業旅行が不安になってしまいました。

 今回の野球が4年生最後の機会と思われますが、参加して楽しむことができてよかったと思います。今回のように、ゼミでのほかのイベント(忘年会、卒業旅行、しようと言い出すであろう鍋パ等)も楽しんでいこうと思いました。

 

演習Ⅰ(後期第8回)。

 ゼミ見学会が行われた日の3年生ゼミのレポートです。

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 こんにちは!今回のブログ担当の大日方ゼミの高身長イケメンエースY・Nだぜ!

 12月5日 今回のテーマは「職業の自由」でした。職業の自由にはどのような規制がなされているかについて、小売市場開設距離制限事件、薬局開設距離制限事件を参考に話し合いました。

 職業の自由に対する規制は、その規制目的に応じて、積極目的規制と消極目的規制に区別され、それを規制目的二分論といいます。積極目的規制とは、経済発展や福祉国家の実現など政策目的による規制であり、合憲性の判断については明白性の基準が用いられます。小売市場開設距離制限事件では、この積極目的規制が適用され、「憲法は国の責務として積極的な社会経済政策の実施を予定している」とし、「その分野における判断は、立法府の判断に委ねられているため、裁判所は立法府が裁量権を逸脱し、当該法的措置が著しく不合理であることの明白である場合に限って、違憲とすることができる」として、卸売市場の許可規制は22条1項に反しないと判示しました。

 対して、消極目的規制とは、主に国民の生命・健康や公共の安全に対する危険を防止するための規制であり、合憲性の判断については厳格な合理性の基準が用いられます。薬局開設距離制限事件では、この消極目的規制が適用され、「本件規制は主として国民の生命・健康に対する危険の防止という消極的目的のための規制である」とし、「不良医薬品の供給の危険又は医薬品乱用の助長の弊害を防止・除去することは、薬局の適正配置ではなく他の手段によって達成しうるから、本件規制は必要かつ合理的とはいえない」として、違憲としました。

 規制目的二分論については、この他にも、公衆浴場距離制限事件や酒類販売業免許制事件などの判例もあるようなので併せて理解していけたらいいと思います!

Img_0101 また、当日は2年生による、来年度の演習選択のための見学会が並行して行われました、さすが、学部ナンバーワンの人気ゼミである我が大日方ゼミとあって、大量の2年生が溢れかえっていて、見られているこちら3年生側もたいへん緊張した面もちでした(ちなみに私は2年生の羨望の眼差しに快感を覚えていました。照)。

 2年生にはぜひ過酷な「大日方ゼミ生枠 獲得競争」を勝ち抜いて、私たち「おびにゃんファミリー」の一員になれるように頑張ってほしいです!ファイト!

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 さいごは、完全に煽りがはいってますね。これでは、わがファミリーが法学部のアンダーグラウンドのようです(一部での評価はそうかもしれない)。でも、実情は、いたって本流。いままでのゼミ生のお陰で、人気ゼミとなっているのでしょう。それでも、入ることはそんなに困難ではありません。「志望理由書」をきちんと書いてある人は、だいだい採用されているはずです。それに、突出してゼミ生が多いのも、ここ数年のこと。いつまでもこの状態が続くはずはありません。市場とはそういうものだと思います。

 ということで、このゼミに入りたいという2年生は、それほど臆せずに志望してもらって大丈夫だと思います(ただ、意に沿えなかったときには、🙇)。

2017年12月 3日 (日)

演習Ⅱ(後期第5回)。

 sun

 前回の4年生のゼミのレポートです。

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 満を持して?(笑)今回ブログを担当させていただきます、M・Sです。偶然にも今回の発表は自分の班で、テーマは「ホームレスの人の人権」でした。

 具体的にはホームレスの人の人権が問題となる事案として2つを挙げて発表しました。

 1つ目は、ホームレスのごみの持ち去りの事案です。まず廃棄物処理法は一般廃棄物(古紙、ビン、空き缶等再利用の対象となるもの)のごみ置き場からの持ち去り行為を禁止していません。しかし、多くの自治体では、ごみのリサイクル業は地方公共団体が統括しており、条例で一般廃棄物の「ごみ置き場」からの持ち去りを禁止し、かつ命令に違反すれば罰則を科しています。ホームレスが同様の規定に違反して起訴された場合、どのような憲法上の主張をし得るかが問題となります。この事例は世田谷区清掃・リサイクル条例事件(最判平成20年7月17日)がリーディングケースとなっています。

 主張の仕方は様々ありますが、特にホームレスの実態を考慮した主張として、同規定がホームレスの人の営業の自由(憲法22条1項)を侵害しているといったものが考えられます。ホームレスは空き缶等を回収し業者に売り渡すことで生計を立てているという実体があります。同規定は事実上これを不可能にするものです。ただし、事案の解決としては従来の規制目的二分論に基づき積極目的規制に対する緩やかな基準(明白性の原則)を適用し、規定は合憲であるとの結論が想定できます。

 しかし、本件のような条例が本当に積極目的規制といえるのか、そもそも規制目的二分論的な解決方法が本件事案において妥当といえるのか、条例の目的が環境・衛生の保全や地方公共団体の財源確保であればこのような規制が許されるのかのような疑問が残ります。

 2つ目は、ホームレスが公園にテントを張って生活していたとき、自治体は公園の整備のため、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」に基づきテントの除去を命令し、これに従わなかったことを理由に強制執行が予定されたとします。ホームレスの人はこれに対していかなる憲法上の主張をし得るでしょうか。

 これに対して、まずはテントの除去が憲法25条に反するとの主張が考えられます。しかし、25条の考え方において有力である抽象的権利説では、生存権はあくまで抽象的な権利にとどまり法律による具体化が必要です。すると例えば、本件のホームレスの人がテント住まいで住所不定であることを理由に生活保護申請が拒否された場合は、拒否処分を25条違反と構成することが考えられます。少し横道に逸れますが、生活保護申請の要件として住所の記載が設けられています。そして、ホームレスの人は多くが住所不定です。ただ、ホームレスの人こそ広く生活保護費受給の対象となるべきでしょう。ホームレスの人が生活保護を受給するためには、自立支援センターのような施設に入ることが必要となります。ここでは、時間や規則を守り集団で生活しなければならないため、そのような生活に耐えかねてホームレスに逆戻り・・・のようなこともあるようです。ホームレスの人を想定した生活保護制度の更なる改善が求められます。

 次に、ホームレスの人には居住の権利があり、代替措置なくテントの撤去を命じることは憲法13条を根拠とする生命権、健康権の侵害であるとの主張が考えられます。本件では、行政側がホームレスの人に対し、一時宿泊施設への移動を勧告していたため、この主張は厳しそうですが、それでも一時宿泊施設の質が不十分であり代替措置として適切でない、テントより劣悪な環境であるとの主張も考えられ、方法としてはあり得るのかなと思いました。ただし、この場合にはそのような代替措置をする義務が行政側にあるのかは依然として問題となります。

 少し事案から離れますが、テントの除去ではなく、公園からの立ち退きが行政から命じられた場合に、ホームレスの人には13条を根拠にした「野宿の権利」があり、正当な理由のない立ち退き命令は違憲であるという別の観点からの主張も考えられます。ここでは、ホームレスを公園から追い出すに足る正当な理由とは何かが重要となります。

 ホームレスの人達は行政に対しいかなる支援を求めているのでしょうか。そもそも今の生活を行政に改善してもらいたいという意識はどの程度あるのでしょうか。日本のホームレスの方々の多くは、自らの工夫で生活環境を整え、生活保護の対象者であったとしても受給を断る傾向にあります。そう考えると生存権的主張よりも営業の自由を根拠とした主張や、野宿の権利の主張がホームレスの人達の意思と実態に合致し、現状の生活を維持するための効果的な主張ができるのではないかと考えます。

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