無料ブログはココログ

わたしの著書

  • 憲法Ⅰ 総論・統治機構論
  • 憲法Ⅱ 基本権論
  • 著作権と憲法理論
  • ロールズの憲法哲学

« 第6回熊公研。 | トップページ | 演習Ⅱ(後期第8回)。 »

2017年12月11日 (月)

演習Ⅱ(後期第6回)。

 さむ。12月4日の4年生のゼミのレポートです。この2日後に「補習baseball」がありました。

 ----------

Img_2574 こんにちは。今回ブログを担当するK・Sです。授業の冒頭、Sちゃんが夢の国のおみやげを配ってくれました。かわいい箱に入ったクッキーの写真を撮っている先生を見守るという謎の待ち時間がありました(笑)。今、流行りのインスタ映えですね。

 今回のテーマは、暴力団規制条例の合憲性でした。お題となった事例は、市営住宅に住むY2、Y3に対して、子のY1が暴力団員であることを理由に、住宅及び駐車場の明渡しを求めたものです。市の条例において、市営住宅の入居者または同居者が暴力団員であることが判明したときに、当該住宅の明渡しを請求することができることが定められています。本件では、Y1が別の住宅に住んでいましたが、本件住宅の名義人はY1でした。Y1、Y2は名義人又は同居人が暴力団員であることが判明したときには、ただちに住宅を明け渡すことが記載された誓約書を提出していました。本件は公営住宅等に関する条例のうち、暴力団の排除に係る条項の憲法適合性について争われ、最高裁として初めて判断が示されました。具体的には、①憲法14条1項、②憲法22条1項、③本件規定の適用違憲についての判断がなされました。

 ①について、本件規定は合理的な理由のないまま暴力団員を不利に扱うものであるという主張に対し、(1)地方公共団体に一定の裁量があること、(2)暴力団の性質、(3)他の入居者等の生活の平穏が害されるおそれ、(4)自らの意思で暴力団員でなくなるのは可能であること、(5)市営住宅以外における住居は制限されないことを列挙し、本件規定は暴力団員について合理的な理由のない差別をするものとは言えないとしました。

 ②について、本件規定は必要な限度を超えて居住の自由を制限するものであるという主張に対し、本件規定により制限される利益が社会福祉的観点から供給される市営住宅に暴力団員が入居しまたは入居し続ける利益にすぎないことに加え、①の判断で考慮した5つの要素を総合考慮して、本件規定による居住の制限は公共の福祉による必要かつ合理的なものであるとしました。

 ③について、Y1はほかに住宅を貸借して居住しており、誓約書が提出されていることなづを併せて考慮して、本件住宅及び駐車場の使用の終了に本件規定を適用することは憲法14条1項、22条1項に違反することにならないとしました。

 以上より、暴力団規制条例の合憲性が認められました。本件のような規定を過度の規制であるとする学説もありますが、本件規定の目的である他の入居者等の生活の平穏が害されるおそれについて、立法事実を認定する調査結果があります。公営住宅において発生した不法行為に、暴力団員が関わっていた事例が多く存在しているというものです。よって、規制の合理性が認められます。

 判断要素のひとつに、市営住宅以外における居住は制限されないことが挙げられていますが、民営の住宅でも暴力団員であることを理由に入居の拒否又は退去を求められることはあるでしょう。もし本件規定と同じ内容の契約を個別に結んだとしても、やはり他の入居者の生活の平穏等を理由にその契約は有効だと考えられます。そうなると、暴力団員は居住するところを失い、生存権を認められないことになりそうです。この点について、公営住宅の性質は、生存権を具体化し実現するための福祉更生施設です。Yらが他の住宅を借りられなかったのであれば、市営住宅からただちに退去を求めることは問題があると考えられるかもしれません。しかし、Y1は別の住宅に居住しており、他の住宅を借りることができています。よって、この判決は事例依存的であると言えます。

 私が一番気になったのは、暴力団員は自らの意思でやめることができるというところです。制限されなくなかったらやめればいいというのは、理屈としては確かにそうかもしれません。しかし、やめますと言ってあっさりとやめられるものではなさそうです。仮にやめたとしてもそれをどのように証明するのでしょう。今回の事例ではY1が暴力団員であること自体は争われていませんが、暴力団員でないと主張したらそうなったのでしょうか。今回は警察からの連絡でY1が暴力団員であることが判明したそうですが、警察が持っているであろう暴力団員のリストを目的外使用したとして問題にならないのかも気になりました。

« 第6回熊公研。 | トップページ | 演習Ⅱ(後期第8回)。 »

演習Ⅱ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/499918/72431882

この記事へのトラックバック一覧です: 演習Ⅱ(後期第6回)。:

« 第6回熊公研。 | トップページ | 演習Ⅱ(後期第8回)。 »

2018年1月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31