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カテゴリー「憲法Ⅱ(統治機構)」の19件の記事

2017年6月26日 (月)

憲法Ⅱ(第19回)。

 空模様はぐずつき気味。で、憲法Ⅱの第19回講義のレビューです。

 (0) まずSBSについて。

 ① 恩赦権恩赦制度については、刑罰権がもともと君主権限であったという歴史的由来に基づいて理解してください。

 ② 行政委員会制度については、行政委員会の業務が政治的・行政的中立性、専門技術性が要請されるので、内閣・内閣総理大臣の統轄下ではなく、それらの所轄下に置かれていること、これらをどう制度設計するのかは、大枠としては、国会の裁量の下(41条又は43条)にあると考えればよいと思います。

 ③ 「統制ルール」/「構成ルール」ついては少し難解だったかと思います。ただ、わたしの統治をみる学問的視点にも関係していることをみなさんの前で話すことができ、よかったと思います。

 (1) つぎに内閣総理大臣の地位と権限について

 ① 日本国憲法が内閣総理大臣に「首長」としての地位を与えている(66条1項)ことの意義をプリントP50の中ごろで復習してください。

 ② つぎに、内閣の代表者としての権限(憲72条)について、原則として、閣議にかけて行使することが要請されていますが、形式的な閣議はない場合にもなお内閣総理大臣の職務権限の範囲内といえるか否か、いえるとして、どのようなロジックがあるのかについては「ロッキード事件丸紅ルート判決」(百選Ⅱ-180)、青本P221で複数してください。

 ③ 国務大臣の訴追同意権(憲75条)についても、条文理解を深めておいてください。とくに、75条後段の意義についても、プリントP51の中ごろで確認してください。

 ④ 内閣総理大臣の異議の制度(行訴27条)については青本P275を一読しておくだけで十分です。

 (2) で、講義は、財政の章にはいって

 ① 財政の定義財政作用に関する権力分立内閣が財政権の主体、国会に財政決定権を配分)をプリントP52で確認してください。

 ② 財政の基本原則について、財政国会中心主義・財政民主主義(憲83条~88条+会計検査院による決算審査の国会への報告〔90条〕、国民への報告義務〔91条〕)を確認したあと、

 ③ この原則に対する構造的制約としての89条の意義をプリントP53で確認してください。内閣は、財政権の主体として、国会の議決に基づいて財政支出を実施します(財政国会中心主義)が、89条は、国会に対して議決してはいけない支出を事前に定め、内閣に対しては国会の議決があっても支出してはいけない使途を事前に定めている、という意義があります

 具体的には、89条前段は宗教上の組織・団体への公金支出を禁止していますので、政教分離原則を財政面から保障している説かれてきました。また、後段は公の支配に属さない慈善・教育・博愛事業への公金支出を禁止しています。この意義については、プリントP58にいったときに解説します。

 ④ 租税制度については、租税の定義(報償性がないことがポイント)をお話ししたところでタイム・アップとなりましたので、次回は、もう一度、租税の定義を確認したあと、憲法84条と財政法3条の意義の違いからお話しします。

2017年6月22日 (木)

憲法Ⅱ(第18回)。

 定期試験の時間割も決まり、俄然、やる気満々、てところでしょうか coldsweats02

 では、きょうの第18回憲法Ⅱのレビューです。

 (0) SBS、いつものようにたくさんの質問、ありがとうございます。きょう確認しておくことは、

 ① 「執政/行政」の区別は、ざっくり言うと、統治の基本方針を決定しそれを基に法律を制定される作用が「執政」、国会の制定した法律を執行する作用が「行政」ということになります。また、「国務大臣・行政大臣兼任制」の図を参照しつつ、執政権を国務大臣の組織体である内閣が行使し、行政権は行政大臣及び下位行政機関(行政各部)が行使することも確認してください。

 ② 「平成の行政改革」は、議会統制によるものではないので民主制の後退であるとの批判に対して、憲法73条4号に基づく内閣の行政組織監督権限を強化するものであるとしたSBSのP102の一番下の□の質問、意見。お見事でしたgood

 ③ あと、「憲政の常道」(衆議院第一党の党首が首班指名されて内閣を組織すべきであるとする憲政思想)、シビリアン・コントロール(軍隊を公選部門で統制することで軍部の暴走を防ぐ統治制度)、「鉄のトライアングル」(政財官の癒着関係)など、なにを意味しているのか確認しておいてください。

 (1) 講義の本体にはいって、きょうは、憲法73条に列挙された内閣権限についての概説からはじめました。

 【1号】 内閣に憲法上与えらえれている権限(執政権)からすると、1号は「法律を誠実に執行させ、国務を総理すること」と読み換えられるべきであるとお話しました。

 そのさい、法令違憲の法律まで執行させる義務はないことを昭和48年の尊属殺重罰規定違憲判決後の運用を例に、また、「国務」とは執政のことであることもお話しています。

 【2号】【3号】 これは、内閣に外交処理権が与えられ(2号)、そのうちのおもなものである条約締結行為について、その実体的権限を内閣に手続的統制権を国会に与えている(3号)ことを確認しました。

 【4号】 官吏に関する事務を掌理に関しては、官吏の任用、昇進について、猟官制(政治任用)ではなくメリット・システム(成績制)を採用していることをお話して、憲法15条2項「全体の奉仕者」、国公法102条「政治的行為の禁止」、人事院規則14-7(禁止される政治的行為)の意義について確認しました。

 【5号】 予算作成権・提出権(あわせて予算編成権)については、86条が国会に与えた予算議決権との関係がありますので、財政の章でお話します。

 【6号】 政令制定権については、行政立法は法規命令(法規性あり)と行政規則(なし)に分けることができ、さらに、法規命令は委任命令(法規性あり)と執行命令(なし)に分けることができることを青本P212~P213の【行政立法】を読みつつ解説しました。

 【7号】 恩赦権については、恩赦の意義を青本P213で確認したあと、上の昭和48年最大判のときの個別恩赦の意義などをお話しました。

 (2) 憲法73条以外の条項に基づく内閣権限及び内閣の責任(憲66条3項)については、プリント及び青本で確認しておいてください。

 (3) で、本日のメインイベントは、行政委員会の憲法適合性の問題でした。

 ① 国家行政組織法1条からすると国の行政機関は、内閣の統轄の下に置かれていなければなりません。「統轄」とは、国の行政機関全体が系統的に作動するようにその舵取りをする作用のことをいいます。

 ② ところが、人事院や公正取引委員会に代表される行政委員会は、内閣又は内閣総理大臣の所轄の下に置かれています。「所轄」とは、具体的権限行使については上級官庁の指揮命令に服さない法関係のことをいいます。

 ③ ということで、憲法は内閣を頂点とする一体的責任体制の下で行政機関が国務及び行政事務にあたるとこを要請しているのに、内閣又は内閣総理大臣の統轄下にない行政機関の存在を認めることには憲法65条(内閣の権限)及び憲法72条(内閣総理大臣の権限)との関係で憲法上の疑義があることになります。

 → これが「行政委員会の憲法適合性」の問題です。

 ④ で、解法については、プリントP49~P50、青本P219に記載していますので、各自で確認してください。

 この行政委員会の憲法適合性(独立行政委員会の合憲性)の問題、そろそろ裁判所事務官の採用試験あたりで出題されてもいいとここ数年思っていますが、まだ、出題されていません。そろそろではないでしょうか・・・・

 ということで、次回は内閣総理大臣の地位と権限を検討したあと、財政の章にはいります。定期試験に向けて、試験範囲、フルスロットルで拡張中です!!!

2017年6月19日 (月)

憲法Ⅱ(第17回)。

 くもりcloud きょうの憲法Ⅱのレビューです。

 (0) SBSは、国会議員の不逮捕特権(憲50条)、免責特権(同51条)について、おもにまとめてありますので、各自、復習してください。

 で、きょうから本格的に内閣の章にはいりました。が、内閣の章は、イマイチ、盛り上がりに欠けるように思います。ので、レビューというより、きょうの講義のポイントだけ記します。

 (1) 憲法65条が内閣に与えた「行政権」とは何かについて、積極説と消極説があることについては、プリントP43で確認してください。

 それよりも、わたしは、同権限は、英語では executive power とあり、これは administrative power とは違うことを強調しました。これから、前者は「執政権」と表記し、後者を「行政権」と表記します。

 で、執政と行政の違いですが、執政とは、国家統治の基本事項(内務、外交、防衛、財政、司法など、明治憲法下においては天皇大権事項だったもの)について国家の基本方針を策定し、下部行政機関に実施させる権限である、と説明しました。これに対して、行政は、法律の執行である、とも説明しました。両権限の決定的な違いを誤解を恐れずに言えは、前者は国会に法律を制定させる権限であるのに対し、後者は国会が制定した法律を執行する権限です

 そして、実は、この違いは日本国憲法も知っていることを講義しました。というのも、65条、66条3項にある「行政」の英文は executive でるのに対し、72条、73条柱書の「行政」は administrative だからです。この区別は制定者(GHQ)も下にふれるように知っていました。知らないのは日本国憲法の日本文と一部の法学者だけでしょう。

 (2) で、この執政権、日本国憲法では内閣に与えられているのですが、合衆国憲法では大統領に与えられています。英文で確認すると、、、

 日本国憲法65条:Executive power shall be vested in the Cabinet.

 合衆国憲法2条1節1項:The exective power shall be vested in a President of  the United States of America.

 ね、よく似ているでしょう。そして、日本国憲法と合衆国憲法では政治部門(執政府と立法府)について条文構造が違うというお話しもしました。というのも、日本国憲法は民主的勢力(の代表者である立法府)を信頼しているの対して、合衆国憲法は民主的勢力を警戒し伝統的勢力(君主、選挙された君主である大統領)を信頼しているのです。

 ① 日本国憲法は、明治憲法の天皇権限を内閣がひき継いでいるので、憲法上、内閣権限を統制するために、65条で執政権の帰属先を内閣としつつも、この権限の中身を73条に列挙することで限定しようとしています。これに対して、民主的勢力には期待をしているので、国会権限は41条、43条1項で包括的権限が与えられています。

 ここにも、日本国憲法制定にかかわったGHQメンバーの影響が見られると講義しました。彼らは、デモクラット(デモクラシ-・民主制に期待、信頼をおく人たち)だったのです。だから、彼らは、国会を内閣の上におき、国会の制定する法律で内閣による統治を抑制するよう日本国憲法を構想しました。

 ② 合衆国憲法は、自らが革命から成立したものであるがゆえに、また、フランス革命後の混乱を知っていたので、革命を起こした民主的勢力が統治を不安定なものにすることを警戒しました。そこで、民主的勢力の代表者からなる議会の権限を1条8節に列挙することで限定すると同時に、伝統的・保守的勢力である大統領権限には上の2条1節1項のように執政権を包括的に与えているのです。

 国家機関の政治部門(執政府、立法府)のどちらを警戒(どちらを信頼)して統治構造をデザインするのかについて、日本国憲法と合衆国憲法は、ことほどさように違うのです。

 (3) ということで、「統治の民主化」、国会による内閣統制を目指したと思われる日本国憲法ですが、そのことは、(1) でみた「執政」の広範性(法によって規制することが困難な国家作用)であったことと議院内閣制(国会のリーダーが内閣を組織し、その内閣と国会が統治方針において一致していることを制度として確保しようとする統治制度)のために、実現するのは困難なことでした。内閣は、常に、国会の上位国家機関として統治を舵取り(ガバメント)する国家機関になっていったのです。

 (4) また、国家統治における内閣の優位性は、1999年の行政改革以降において、決定的なものになったということも講義しました。

 1999(平成11)年には、わが国の「政官関係」において、いまからしても重要な枠組変更が行われました。それまでは、明治憲法以降の伝統をふまえた業種・産業ごどの省庁編成を続けてきたのですが、それが、政財官の癒着、「縦割り行政」(官僚権限の肥大化)、国会統制の欠落(族議員は官僚と連んでいるので)を生んでしまったのです。そこで、もう一度「政官関係」を政治主導のものにくみ変えようとしたのが、1999年の内閣法改正、内閣府設置、国家行政組織法改正に代表される「平成の大改革」だったのです。

 これ以降、昨今話題となった、内閣官房に置かれた内閣人事局で各省庁の局長級以上の人事を掌握することに象徴されるように、内閣が官僚組織を統制するという形式における「政官関係」が実現してきたのです。

 (5) ところで、20世紀末には上の「平成の大改革」と同時に大きな改革があった、とお話ししました。それは、衆議院選挙において小選挙区制を導入したことです。これで、政権交代を容易にすることで、内閣に公正な統治(下野する場合もあるという緊張感による統制の下での統治)が実現するはずでした。ところが、すべてを小選挙区制にしてしまうと当選者を出せない政党もあるわけで・・・ということで、比例代表並立制にしました。その結果、政権交代の可能性まで薄れてしまって・・・長期政権が実現していますよね。

 つまり、上の内閣主導の下での官僚統制という「政官関係」の組み替えは政権交代が容易である選挙システムの変更と一体のはずだったのです。ところが、その片翼が折れることで、つよい内閣だけが残ってしまいました。長期政権にあるときには、やはり、官僚は内閣の意向を忖度しながら政策実現していくしかなかったのではないでしょうか。つまり、いまの状態は、わが国の憲法以下の統治制度によって予想できた統治状況であるといえるのではないでしょうか。

 第192回常会がある種の混乱のなかで閉会したあとの憲法の講義として、すこし国家統治の大きな見方みたいなものもお話ししようと思って講義してみましたが、理解できたでしょうか。わたしの見解が正しいわけではないことをまずはお断りして、憲法の統治論というのは、条文のチマチマした解釈というよりも、こうした大きな統治の流れを政治の展開とともに分析してみる、といところに醍醐味があると思います。

 受講生のみなさんは日本国憲法下における国家統治をどう見ていますか? 是非、みなさんの統治論もいずれ聞かせてください。

 

2017年6月15日 (木)

憲法Ⅱ(第16回)。

 きょうもはれsun。つゆ、どこいったんでしょうね。

 ということで、憲法Ⅱの第16回講義のレビューです。

 本日の講義は、本体にいくまでに、時間がかかってしましました。あさ、改正組織犯罪処罰法が参議院本会議で可決、成立したからです。この法律案審議手続(中間報告)についてふれないわけにはいきませんものね。

 国会法56条の3には中間報告手続について規定されています。通常なら委員会に付託された法律案は国会法53条の手続により委員会(今回の場合には法務委員会)で採決されたあと、その結果について委員長が本会議で報告して、そのあと、本会議で採決手続にはいるという手順で審議されています。

 ただ、上の国会法56条の3第1項には議院から委員会へ要求する形式で中間報告手続について規定されていて、同条2項では「特に緊急を要すると認めたときは」(委員会採決を経ずに)「議院の会議(つまり本会議、引用者)において審議できる」ときあります。

 今回の法改正はこの手続を使ったというわけですね。政治的にはいろいろ批判があるところでしょうが、法学的には、今回が「特に緊急を要する」場合に該当するのか否かが気になるところ。ただ、学問的には批判できるのでしょうが、議院運営には憲法上の議院自律権が認められていることからすると、学問的に批判することもあまり生産的ではないような・・・

 で、SBSでは、おもに前回の国政調査権との関係で「参考人招致」(国会106条)について質問があったので解説しました。

 講義の本体部分は、

 (1) まず、国政調査権の限界について前回積み残していたので、そこからお話をはじめました。国政調査権の限界については、① 司法権との関係では司法権、裁判官の独立との関係に、② 行政権(含・検察権)との関係では職務上の守秘義務との関係に、③ 国民の権利との関係では、証人として召喚された者の憲法上の権利に注意すべし、と講義しました。プリントP39の問題について、SBSの最後に解答を【講義補遺】としてつけているので、それを参考にしつつ青本P189~P191で復習してください。これ、公務員試験に記述問題としてよく出ますので。

 (2) つぎに、議員の特権のところにはいり、まず、不逮捕特権(憲50条)について解説しました。不逮捕特権については、憲法50条の文言(「逮捕」、「会期中」、「法律の定める場合」←これ、国会法33条のことですが)について、不逮捕特権の意義に注意しつつ、復習してください。

 (3) 免責特権(憲51条)についても、その意義(古典的には国王権力からの議員の自由の保障、近時においては議員に発言、表決の自由を保障することによる議院審議の充実)との関係から、憲法51条の文言(「議員」、「議院で行った」、「演説、討論又は表決」、「責任」)の意味について、確認してください。

 また、免責特権の範囲については、病院長自殺国賠訴訟(最3判平成9年)の意義を確認してください。その判例をもとに考えると、① 国会議員の発言はいかなるものであっても免責、② 国の国賠法上の責任は「特別の事情」が立証されれば肯定、③ 但し、その場合でも憲法51条の効果から議員個人への求償(国賠1条2項)は認められない、というところだと思います。

 (4) さらに、歳費請求権(憲49条)も近代議会における代表のあり方(命令的委任代表を否定、純粋代表)を考えるうえで重要です。

 (5) で、最後に、なんとか「内閣」の章にはいれましたscissors そして、明治憲法下の内閣についてお話しましたので、プリントP42で確認しておいてください。明治憲法には内閣の規定がありませんでした。そこでは、天皇から直接任命された国務大臣が分掌について直接天皇を輔弼していたのですが、実際には、その輔弼の前に大臣間での意見統一が望ましいとの考えから内閣が置かれ、誰から代表して天皇に謁見した方がよいとの考えから総理大臣が置かれていました。また、大臣の任命についても、大命降下(組閣の要請)のあった総理大臣の推薦に基づき天皇が任命するという慣行があったとされています。

 やく2回まだ遅れていますが、なんとかするでしょう。

 

2017年6月 8日 (木)

憲法Ⅱ(第15回)。

 梅雨の晴れ間というところでしょうか。カラットしてもいる。

 ということで、きょうの憲法Ⅱ(統治機構論)第15回講義のレビューです。

 (0) まず、SBSでは、国会の条約承認権(憲73条3号)にまつわるいくつかの質問について回答しました。なぜ事前承認だけでなく事後承認まで許されているのか、日本語訳に誤訳が判明したときにはどうするのか、そもそも国会承認の要否は誰が判断するのか等、いつものように興味深い質問ばかりでした。SBSのプリントを是非、読み返してみてください。

 で、きょうはおもに議員自律権についてお話しました。議員自律権とは、各議院が内閣、裁判所、そして、国会(他の議院)から独立して自律的に審議ができるための憲法原則です。

 (1) 組織自律権(憲55条)についてのところでは、

 ① 議員の資格争訟の裁判権の理解がポイントです。各議院がもつこの裁判権には、司法権による事後的介入が許されていないという点について、プリントP35の一番下および青本P182で確認してください。

 ② くわえて、役員選任権(憲58条1項)のことろでは役員の種類について国会法16条に法定されていること、また、委員会制度のことではこの委員会の種類、数、名称について国会法で法定されていること(40条、41条)について疑問あり、とお話しました。なぜでしょうか?

 (2) 議院規則制定権(憲58条2項本文前段)のことろでは、国会法と議院規則が矛盾抵触した場合、いずれの効力が優位すると考えるべきか、と【Q】を出しています。ここでは、法律優位説と専属事項説という2つの学説があることをプリントP36~P37で確認し、どちらがより説得的か考えてみてください。ヒント、憲法59条2項の法律制定における議事手続を思い出してみて。

 (3) 議院懲罰権(憲58条2項本文後段)のところでは、議員の懲罰について、裁判所の審査権は及ぶであろうか、というところに【Q】を付しています。

 ① この問題に関しては、まず、地方議会議員に対する懲罰と司法審査に関する最大判昭35・10・19(百選Ⅱ187)を読んでください。ここでは、地方議会における出席停止処分と除名処分とで最高裁の見解は異なっていることを知ることができます。

 ② 最高裁は、地方議会議員に対する出席停止処分には裁判所の審査権は及ばないとしているのですが、除名処分には審査権が及ぶとしています。では、国会議員に対する除名処分に対してはどうでしょうか?憲法58条2項後段の意義はどのように理解すればよいでしょうか。

 (4) 議事手続決定権に関しては、議院の議事手続の適法性は司法審査の対象になるかを検討しました。これについては、最大判昭37・3・7(百選Ⅱ186)の警察法改正無効事件で検討してみてください。

 ※ もしかしたら、今国会の会期延長は混乱の中で議決されるかも・・・

 (5) で、さいごに、国政調査権(憲62条)について「頭出し」をしました。

 ① 国政調査権を各議院に与えたの意義は、各議院が国民代表機関として国政全般について監視、監督する役割を果たすことにあります。

 ② また、国政調査権は法的強制手段をもって国政全般について調査する権限なので、議院証言法には偽証罪の規定があります(議院証言法6条1項)。

 ③ 国政調査権の法的性質については、補助的権能説独立権能説があること、わたしは、独立権能説が適切であると考えていることをお話ししました(理由は独自のものであることもプリントP38、青本P188~P189で確認してください)。

 ここで、講義はタイムアップ。次回は国政調査権の限界をお話したあと、議員の特権(不逮捕特権、免責特権)をお話しして、国会の章をおえ、内閣の章に移ります。

2017年6月 5日 (月)

憲法Ⅱ(第14回)。

 sun 憲法Ⅱ、第14回目の講義のレビューです。

 (0)(1) 今回は、前回の講義、SBS、そして、今回の講義の冒頭のテーマに関係して、憲法41条の条文理解から講義しました。それは、

 ① 前段の「国権の最高機関」の解釈には、(ⅰ)政治的美称説(法的効果なし)と(ⅱ)最高地位責任説(法的効果あり)〔略・統括機関説〕があること。

 ② 後段の「唯一」という文言で国会に独占させている権限は「実質的意味の法律」を制定する権限であること。

 ③ 実質的意味の法律とは「法規」(権利命題)を創設する権限に関係していること。同権限は当初は君主権限であったが近代議会の発展を受けて代表機関の権限になっていること

 ④ 法規ではない法令は国会以外の国家機関でも制定できること(政令、議院規則、裁判所規則など)。

 ⑤ 但し、国会も法規性のない(あるいは薄い)法律を制定する権限をもつこと。その根拠は(ⅰ) 明文根拠があるもの、(ⅱ) 43条1項(政治的美称説)又は41条前段(最高地位責任説)と説明できること。

 ⑥ 国会の41条後段権限によって制定されている法律(実質的意味の法律=法規=権利命題)には法の支配原理により一般性・抽象性がつよく要請されるが、法規性のない(あるいはよわい)法律(組織法、特別措置法、給付に関する法律)は法の支配の要請もよわいと考えればよいこと。

 で、ここまでのことを青本P170~の【義務的法律事項、任意的法律事項】の項目をつかって確認しました。

 (2) つぎに、国会の法律制定権の委任(立法の委任)について検討しました。

 ① 立法の委任については、二院制による非効率性・非迅速性、また、行政官僚のもつ専門性に期待するため、これらを理由として、その必要性は肯定されている。

 ② 立法の委任の根拠は、判例的ではありませんが(判例は各自確認してください)、国会の法律制定権には、法律の実体的部分については国会で定めかければならないが、その細目については下位国家機関に委任することも含まれていると解すればよい。

 ③ 立法の委任の問題については、その必要性は認められるとしても、限界がある。「白紙委任」は許されない。

 ④ この問題については、国公法102条1項で禁止されている「政治的行為」の内容を人事院規則14-7に委任している枠組に関係して、国公法102条1項違反に対するものとして、2種類の制裁が規定されているが、

 (ⅰ) 行政組織内部の秩序維持を目的とする懲戒(国公法82条1項)は処分権者に一定の裁量が認められると考えればよいが、

 (ⅱ) 刑罰(国公法110条19号)については、法律で明確が基準を定めていないと罪刑法定主義に反するのではないか。したがって、国会法102条1項→人事院規則への委任は「白紙委任」ではないか。

 という見解があり得ることを講義しました(参照、最大判昭49・11・6刑集28巻9号393頁〔猿払事件上告審〕の大隅ほか反対意見)。

 (3) さいごに、国会の条約承認権について

 ① 憲法は、外交処理権の重要部分である条約締結に関して、その実体的権限を内閣に、内閣の締結行為に関する承認権を国会に、それぞれ配分していること。ここに外交処理権、条約締結権をめぐる権力分立構造を見ることができる。

 ② 国会の承認が必要な条約としては、

 (ⅰ) 条約が法規性(国民の権利を制限したり国民に義務を課したりする)をもつ場合(41条が国会に付与した法律制定権を防禦するため)。

 (ⅱ) 条約が財政上の措置を必要とする場合(86条が国会に付与した財政決定権を防禦するため)。

 (ⅲ) 政治的に重要な国際的約束である場合(内閣に対する国会の統制、外交処理に関する内閣の専断を許さないため)。

 これらの性質をもつ条約の締結には国会承認が必要とされるあろう、と講義しました。

 ③ 国会の承認を欠く条約の効力については、まず、条約の「国際法上の効力」/「国内法上の効力」をわけること、国会承認を欠く条約の国際法上の効力は「条約法に関するウィーン条約」46条1項によること、但し、その解釈には二説あることを講義しました。

 ④ 国会の条約修正権についても講義していますので、この点については、プリントP34で復習してください。

 ※ 国会の条約承認権に関する参考文献として、中内康夫「条約の国会承認に関する制度・運用と国会における議論 - 条約締結に対する民主的統制の在り方とは」立法と調査330号(2012年)3頁以下があります。Moodleにも掲載しました。

2017年6月 1日 (木)

憲法Ⅱ(第13回)。

 cloud 蒸してました。講義室も前列は寒いけど後列は暑かったりで・・・

 憲法Ⅱの13回目の講義のレビューです。

 (0) まずSBSでは、衆議院が参議院よりも民主的正統性がつよい理由(任期が短く解散もある)や二院制だとどうして議会権限が抑制されるのかなどについて、解説しました。

 国会では「政治的ハプニング」続出中ですよね。重要法案を成立させたい為政者にとって一歩対応を誤ると足元すくわれるかもしれませんね。

 (1) 本論にはいって、会期の種類、各会期のおもな審議事項についてお話しました。また、会期不継続の原則は、その機能からすると野党有利に働きそうであることも。このあたりは、講義プリントで淡々と確認しておいてください。

 (2) 国会の活動原則については、国会の召集権者は内閣であると考えらるけれど、その憲法上の根拠は何かについてお話したあと、なぜ「他律的召集」が原則なのかについて国会の法律制定権との関係から解説しました。

 国会は、下にあるように、国民の権利を制限したり国民に義務を課したりする法規範を制定する権限を独占しているので、当該権限がいつでも発動できないようにすることが、会期制をとり、他律的召集が原則であるとされる理由であると思います。

 そのほか、定足数や議決方法のところでは、可否同数のときの議長の決裁権は消極的に行使されるべき(青本P163~P164)である理由も述べました。すく上のことと同じ理由です。ただ、実務上は、必ずしも消極的には行使されていないこともお話しました。

 こういうことを知っていて現在の政治状況をみると、統治のメカニズム、そのダイナミズムのようなものを感じ取ることができると思います。統治は法令によって規律されるべきですが、そう単純にはいかないのです。さまざまな政治取引をしつつ、政府は統治の舵取り(ガバメント)をしているのです。

 (3) 今回のメインは、国会の地位と権限(のうちの法律制定権)でした。まずは、国会の地位から。

 憲法41条前段は国会を「国権の最高機関」であるとしています。この意義について、通説は「政治的美称説」である旨、お話しました。当該学説によれば、「国権の最高機関」であったとしても、そのことによって何らかの国会権限が生まれるわけではないことになります(「最高機関」に法的意味なし)。ところで、法律制定権はもちろん41条後段によって、国会に与えられています。

 これに対して、「国権の最高機関」という文言に法的意味を見出す説として、「統括機関説」と「最高責任地位説」を紹介しました。とくに、後者は、憲法上、権限帰属が不明確であるとされている国家権限(例として、軍務)について、それを「最高機関」という文言を根拠として国会に帰属させる学説であり、有力説であるとされています。

 国民の代表機関である国会だから「最高責任地位説」などよろしそうですが、憲法上権限帰属が不明確な国家権限とは通常は緊急事態における権限であることが予想され、その権限行使者が常設国家機関でもない(会期中のみ存在)そして二院制ゆえの効率性・迅速性にも欠けている国会であるというのは、なんとも実務的ではないように思います。

 (4) つぎに、国会の権限のうち憲法改正の発議権についておさらいしたあと、法律制定権について検討しました。国会の法律制定権に関して理解すべきことはつぎのものです。

 ① 41条後段にいう「立法」とは法規範一般のことではなく「実質的意味の法律」(国民の権利を制限したり国民に義務を課したりする法規範=法規)のことある。

 ② 41条後段が「唯一の立法機関」であるというのは、この実質的意味の法律を制定する権限(法規創造力)を国会が独占しているということである(国会中心立法の原則)。

 → この原則からすると、明治憲法下における天皇大権に基づく法規制定のようなこと、法律制定権を他の国家機関に丸ごと委任すること(白紙委任)は許されていないという法命題が導ける。

 ③ 通説的理解は、上の法規創造力だけでなく、形式的意味の法律を制定する手続も国会が独占しているとしている(国会単独立法の原則)。

 → 但し、わたしは、議院内閣制をとる日本国憲法が採用した権力分立は相互作用型であると思うので、法律制定手続を国会が独占しているとは理解できないのではないか、と疑問を呈しておきました。

 (4) こうした実質的意味の法律は、法の支配の要請をうけ、一般性(法律の受範者が特定されていないこと)・抽象性(法律が規律する事件が特定されていないこと)を備えたものでなければならないと考えられます。ところが、いわゆる措置法、個別法ではないか、といわれるような法律も制定されていることを、講義の最後でお話しました。ここでタイムアップ!

 次回は措置法・個別法に関するプリントP32のいくつかの【Q】をもう一度解説したあと、法律制定権の委任(立法の委任、委任立法)の問題を検討して、その他の国会権限についてお話しようと思います。

 ところで、受講生のみなさん、講義の予習として、青本の該当ページ、読んできていますか? わたしは、教科書を読まずして、講義に出たことはありません(講義に出なかったことはありますが。)。予習をせずにわかるような講義はしていませんし、予習をしていない受講者にもわかるように講義する力量もありませんので、是非、青本の該当ページを読んで講義にのぞんでください。

2017年5月25日 (木)

憲法Ⅱ(第12回)。

 ちょっと、じ~めっとしてますね。で、きょうの憲法Ⅱのレビューです。

 (0) まずSBSから、

 ① 日本国憲法(代表民主制)下における「代表」概念について、わたしは、憲法43条1項(いずれの選挙区、選出母体から選出されたとしても「全国民」の代表者である)及び同51条(演説、討論、表決について院外で責任を負わない)の法的効果を考えれば、日本国憲法の「代表」観は自由委任代表であろう、と考えています。

 ② ただ、そうだとすると国民主権といいながら「代表者(統治者)/国民(被統治者)」となってしまうという命令的委任代表観からの批判に応じて、二者の政治的意思に事実上の一致を制度として求める社会学的代表観が有力に唱えられてきている、とも解説しました。

 社会学的代表観をとる論者が、代表者と国民の間の政治的意思の一致を事実上確保するものであるとみた制度が、普通選挙制(制限選挙制よりもより多くの国民を有権者としているので)と衆議院解散(二者の意思に乖離がみられるときには代表者の組織体を解散→選挙することで一致をとりもどす)であるとも講義しました。

 ③ わたしは「事実上〇〇となっている」から、、、というのは法理論、法的言説ではないので、日本国憲法下における代表観はあくまで自由委任代表で社会学的代表はそのヴァリエーションにすぎないとみていますが、ここは論者により評価が違うところだと思います。また、政治学、経済学、哲学等の影響下にある憲法理論、とくに統治論の奥深さを想起するなら、わたしのように単純に言い切ってしまうことには慎重であるべきかもしれません。

 ④ ここまでの議論をふまえて、プリントP25の【Q】の回答を用意してください。そこでは地自法80条1項のような地方議会議員に対する解職請求制度を国会議員との関係で設置することの憲法適合性を聞いています。

 (1) 日本国憲法の代表観を自由委任代表であるとすると、まず、党議拘束の是非について問題になるのでは、と講義しました。そこでは、かりに党議拘束違反に対する党内処分に議員資格喪失のような効果をもたせるような法制度を創設するなら、それは同代表観(憲法条文でいえば、43条1項、51条)に反するのではないか、とお話ししました。

 これとの関係で、プリントではすこし下にあるのですが、日本新党繰上補充事件について検討してみてください。現行法上、除名その他の党内処分は団体内部の自治にゆだねるべきものですが(憲21条1項〔結社の自由〕)、ただ、除名処分が繰上当選を阻むような制度は憲法適合的でしょうか

 (2) つぎに、党籍変更について、お話ししました。

 ① 衆参の比例代表選出議員について、平成12年改正前法(国会法、公選法)では、党籍変更をしても当選を失いませんでした。

 ② 平成12年改正法で、選挙時に存在していた既存政党への党籍変更については、当選を失うと法改正されました(現行法)。

 ③ 但し、現行法でも、除名、脱退後、無所属になったり新党を結成することは、当選を失うことはありません(このあたり、丸括弧連続条文になれるために、是非、国会109条の2、公選99条の2を慎重に読んでみてください)。

 で、ここで【Q】を板書しました。

 【Q1】現行国会法109条の2、公選法99条の2は憲法適合的であろうか(上の②の合憲性)。

 【Q2】かりに③まで当選を失うとする法改正はどうか。なぜなら、現在の政党国家現象、政党政治の下、有権者は政党の政策に一票を投じていると考えられるので。

 【Q3】現行制度(②)と改正前制度(①)とでは、どちらが国民主権、間接民主制、憲法43条1項、同51条の意義に適合的な制度であろうか。

 【Q4】ブログで追加。衆参の(小)選挙区選出議員についても②の制度を導入したとすると、同制度は憲法適合的であろうか。

 (3) さらに、国会の構成については、二院制の意義についてお話しました。

 ① 第二院の存在理由について、そして、参議院の存在意義については、プリントP27で確認してください。

 ② A・シェイエスは「第二院は何の役に立つのか、その意見が第一院と同じであれば無用であり、異なるなら有害である」と言ったといいます。この言葉をうけて、P27には「参議院不要論をどう評価するか」という【Q】を付しておきました。各自、論述できるようになっておいてください。

 わたしは、青本P152で、二院制の意義は国政に国民の多様な意見を反映させるためではなく、Ch・モンテスキューの顰に倣って、権力分立にあるとしました。議会内部を二つにわけることの本来的意義は、民意の反映ではなく、議会権限の抑制にある、と思います。

 (4) 講義の最後の方では、国会における審議、会議の原則、ルールについて、すこしお話しました。

 「正義」というものをを形式的、手続的に捉えようと試みているこの講義では、会議で何が決められるのかという「実体」面ではなく、議案提出の方法とか誰が提案権者なのかとか、会議のルール(それは成文のものもあれば、先例など不文のものもある)といった会議の「形式的、手続的」側面を検討してみることが重要です。

 これはある種のゲームのルールです。ゲームのダイナミックさやプレイヤーのパフォーマンス(これらを実体面とすると)、これらを引きだすのがゲームのルールです。だって、ルールがなければゲームそのものがない、つまり、実体面も成立しないのだから。

 法というものの重要性もこれと同じように説明できると思います。法がなければ社会そのものがない(「社会あるところ法あり」)、憲法がなければ国家そのものがない(「国家あるところ憲法あり」、ここでいう憲法とは実質的意味の憲法ですね。だから成文の場合もあれば不文のものもある)のです。

 ということで、一見、無味乾燥的で眠くなるテーマですが、会議のルール、意思決定の方法を検討することは、法の本質をとらえるために重要なところだとわたしは思っています。

2017年5月22日 (月)

憲法Ⅱ(第11回)。

 半期4単位の憲法Ⅱは週に2回あるため、もう11回。でも、3回分くらい、遅れているか。とくに、きょう、一生懸命しゃべったわりには、進まなかった。もうしわけありません。

 と同時に、いつもにくわえて、抽象的議論のオンパレードだったと思います。判例や法令の解釈の基盤、背景にある法理論こそ重要なのですが、まぁ、そこは難解なものだとわりきって、判例・法令の解釈に直接関係あるところだけを抽出して理解につとめてください。

 (0) SBSでは、日本国憲法における直接民主制の評価、イギリスの議会任期固定法(2011年制定)、公選部門が非公選部門を統制すべきであるという「民主的コントロール」論、といったお堅いところから、眞子さま報道についてまで、はばひろい質問をもらいました。プリントを参照し、もしわからなかったら、また質問ください(口頭でもOKです)。

 (1) で、本論ですが、衆議院議員定数不均衡訴訟に関する昭和51年の大法廷判決は、実に、重要な判例です。ここでくり出されたさまざまな「法理論」のすべてをその背景まで理解できたなら、統治機構論の相当部分を理解できたといっても過言ではないと思います(少なくとも、半分以上は理解できたはずです)。だからこそ、この判決内容をモデルにした定期試験問題を平成27年度の憲法Ⅱでは55点で出題しています。ぜひ、Moodleにアクセスし、過去問集のところからダウンロード等するなどして、十分に検討してください。

 (2) ようやく「総論」がおわり、統治機構論の本体部分にはいりました。わたしの青本は、統治機構論をまず「政治原理部門」(国会、内閣、地方政府)と「法原理部門」(裁判所)にわけて論じています。さらに、そのうちの「政治原理部門」は、法律制定(国会)、執政(内閣)、財政(内閣、国会)、地方統治(地方議会、地方政府)という作用を、「法原理部門」は司法、違憲審査(いずれも裁判所)という作用を担っていることを意識して記述しています。目次を眺めるだけでも、日本国憲法の統治機構論の全体像がわかるので、時宜に応じて目次を参照してください。

 (3) そして、まず「国民代表機関としての国会」というテーマの下、「代表」概念についてお話ししました。日本国憲法は代表民主制(間接民主制)を採用しているのですが、そこにいう「代表」概念については、おおきくわけて「命令的委任代表」(選出母体の意思に法的に拘束)と「自由委任代表」(代表者に選出母体による法的拘束なし)にわかれることを説明しました。

 さらに、日本国憲法における「代表」は自由委任代表であると思われるけれども、その純粋形態は「統治者/国民」となる法理論であるので、両者の間に事実上の一致を求める「社会学的代表」が通説的見解であるということも述べています。うえに日本国憲法の代表観はおおきくわけて2つであると述べたのは、この社会学的代表は、純粋代表の変種であると、わたしは理解しているからです(ということで、3つあるとする論者もいるはずです)。

 うえの「代表」概念を語るのは、憲法条文で言えば、43条1項と51条の法的意味が何であるかを検討するときに必要になるからです。この両条文の意義は、つぎのように説明することができると思います。

 ① 43条1項-国民の代表。どの選挙区から選出されても、その選挙区の利益を代表し絵居るのではなく、全国民を代表しているということ。実体としてこういうことはあり得ないので(利害を共通にする「国民」という統一体は存在していない)、この条文の法的効果は、選挙区の利益に反する行動をした議員に対する解職請求制(リコール制)を否定することにある

 ② 51条-免責特権。議員としての活動に法的責任を負わせないことを制度として保障している。

 (4) そこで、最後に【Q】として、地方自治法80条1項のような制度を国会議員に導入することはできるか、という問題を付しておきました。上を参照して、理由をふして、答えてみてください。

 (5) ということで、日本国憲法がとっている「代表」観は、自由委任代表(純粋代表)又はせいぜいその変種であると思われるのですが、そう考えるとすると、いくつかの問題が生じます。それがプリントP26に書いてあることです。次回は、そこから講義を再開します。

2017年5月18日 (木)

憲法Ⅱ(第10回)。

 きょうも sun。憲法Ⅱ日和 good

 ということで第10回講義のレビューです。ただ、なんかきょうは(も?)講義があんまちり進まなくてごめんなさい。

 m(. ̄  ̄.)mス・スイマセーン

 講義が進んでいかない原因は何でしょうね。「法セミ」のPRに時間をとったか、それとも、昨夜の「意見交換会」の話が長かったからか、、、

 (0) いま講義で扱っているところが統治と政治が混在(それが「統治機構論」の特徴でもあります)しているところなので、SBSも統治と政治が混在している質問が多かったですね。わたしが「これは政治の問題ですが」といいつつお話ししたところは、わたし専門家ではないので、是非、いろいろな先生の意見を聞いてみてくださいね。

 ここで内閣による解散のタイミングの話をしたのが、講義が進まなかった原因かもしれませんね。

 (1) 衆議院の解散については、内閣は、どのような憲法上の根拠、論拠に基づいて衆議院を解散できるのか、についてお話ししました。

 ① それには、まず69条限定説があります。非選出機関である内閣を選出機関である国会(衆議院)の下に置こうとするこの説は、内閣が憲法上衆議院を解散できる根拠と条件を明確に示しているだけに法的には説得的ですが、実務的にはありません(過去23回の解散のうち5回しか69条解散はありません)。

 ② で、69条非限定説ですが、それは、以下3つに分かれます。

 ⅰ) 7条説。ただ、7条に列挙されている天皇の国事行為は、すでに7条以外の憲法上の根拠、論拠により形式的行為になっているはずなので、7条を根拠に内閣は衆議院を解散できるとは言えないと思います。また、かりにそうだとすると、この根拠に基づく解散を統制する(非選出機関を選出機関の下におく)法理論はないことになります。ただ、実務的にはこの説にたっていると思います(したがって、解散は無条件に行い得る)。

 ⅱ) 65条説。立法作用でも司法作用でもない解散は行政作用であるとするこの説は、安直な感じがしますね。また、65条権限を天皇大権に由来する執政権であると考えて衆議院解散も内閣の執政権行使であると考えることはできると思いますが、そうすると、やはり選出部門の統制は及ばない権限になってしまうと思います。

 ⅲ) 制度説。そうすると、日本国憲法は議院内閣制をとっているのだから内閣には解散権があり、69条の規定みると解散を当該法上の場合に限定するようには読めないから、憲法が議院内閣制をとる以上、内閣は衆議院を解散しうるとする制度説が残ります。これ、説得的のようなそうでないような、、、ですが、内閣の解散権に限界を画そうとする下の法理論は、議院内閣制に関する責任本質説と解散権に関する制度説に基づいて説かれてきていると思います。

 ③ 内閣の解散権行使は議院内閣制の下、「統治方針一致の原則」が崩れたとき限定されるべきである、と考えられています。具体的場合については、青本P127~P128を参照してください。

 (2) つぎに「選挙と選挙制度」の項目(プリントP22中ごろ)にはいって、選挙権の法的性質について「権利一元説」と「(義務と権利)二元説」があること、後者が通説的地位にあることをお話ししました。この説によれば、権利能力以外に、国家機関につく資格として一定の条件を求めても憲法に反しないことになります(参照、公選11条、同252条)。

 (3) つづいて、日本国憲法における選挙の原則について、お話ししました。

 ① 普通選挙の原則(15条3項)- これは制限選挙制を否定するものです。制限選挙は、誰が国家代表にふさわしい人物かを適切に判断するためには、一定の経済的余裕、教育、見識が必要だという理由で正当化されていたことがあります。ただ、その真意は、為政者が、当該社会で長期にわたって差別や不利益扱いの対象となってきた集団(社会的少数派。必ずしも人数の多寡の問題ではない)の反体制的・反政府的投票を恐れて、彼らを選挙から排除することにあった、と解説されています。

 ② 平等選挙の原則(14条1項、44条)- 有権者の選挙権の内容に格差を設ける選挙が「不平等選挙」ないし「等差選挙」と呼ばれます。平等選挙の原則はこれを否定するものです。歴史的な例としては「男子普通選挙制」のもとで、35歳以上で妻子があるなど、一定の要件を満たす有権者に3票までの投票をみとめたベルギー下院選挙法(複数選挙制)や、有権者を納税額によって3グループにわけ、少人数の高額納税者に圧倒的多数の低納税学者と同数の下院議員を選出する権利をみとめていたプロイセン階級選挙制度が有名です。

 ③ 直接選挙の原則(国政レヴェルについて明記なし。地方公共団体の長や議員について93条2項) - 間接選挙制、複選制(それぞれ青本P135)を否定。有権者が「中間選挙人」を選出し、中間選挙人が公職就任者を選出する制度が間接選挙制。また、市議会議員が市長を互選する仕組みのように、ある公職者が別の公職者を選出する制度が複選制です。

 ④ 自由投票制、⑤ 秘密投票制(15条4項)については、青本P136でそれぞれ確認してください。

 とくに、選挙の公務性(二元説)を勘案すると、棄権に制裁を科す強制投票制(義務投票制)の導入の可否ついては、争いがあります(強制投票制の例として、オーストラリア、ベルギー、シンガポール等があります)。

 (4) 議員定数不均衡の問題については、途中で鐘がなったので、次回にもう一度お話しします。その際、衆議院議員選挙に違憲判決を下した昭和51年の最大判をとりあげますので、百選Ⅱ-153(できれば民集30巻3号223頁)を熟読してきてください。そのさいに注意すべき点を列記すると・・・

 ① 訴訟提起段階では、これが「法律上の争訟」(裁3条1項)といえるか。参照、公選法204条。但し、典型的な公選法204条訴訟ではない。

 ② 本案審理段階

 ⅰ) 被告は統治行為論(青本P276)を展開 → 司法審査権の限界の問題。

 ⅱ) 相対的平等 - 議員定数不均衡問題の本質は何か。地域(居住地)による較差に合理的理由があるか。

 ⅲ) 定数配分にあたりなぜ人口的要素ではなく行政区画等の非人口的要素に配慮してよいか - ゲリマンダーの防止。

 ⅳ) 一定の較差で「違憲状態」。なせ「違憲」でないのか → 合理的期間論

 ⅴ) 合理的期間を経過して「違憲」。しかし「無効」ではない。

 ・「憲法の所期しない結果」とは。それはなえ生まれるのか。

 ・ それを回避するために「事情判決の法理」。とは?

 講義ではまだやっていないところが多いので、予習として青本のP137~P140を読むさいの参考にしてください。

 

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